監督:パク・チャヌク
出演:キム・テリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウ
撮影:チョン・ジョンフン
音楽:チョ・ヨンオク
144分
ひさしぶりにきました、超傑作韓国映画!日本統治下の朝鮮。孤児として育てられたスキはある日、貴族との政略結婚を目論むフジワラ伯爵にけしかけられ、とある地主のもとで侍女として仕えることに。不思議な魅力を持つその家のヒデコ夫人のもとに仕えるスキはある日、夫人への不思議な感情が芽生えていくことに気づくのだが…。
素晴らしいです。
監督は韓国を代表する監督の一人であるパク・チャヌク。この人の作品には今まで何度も驚かされましたし、何度も心を掴まれました。
そして本作。
もうお手上げです。
韓国映画通として断言しましょう。こんなに良くできた韓国映画は『殺人の追憶』以来。もう圧巻の出来。
イギリスの女流作家サラ・ウォーターズが手がけた『荊の城』という小説を、舞台を日本統治下の朝鮮へと移し替え、チャヌク監督が当時にまつわる膨大な情報と知識を詰め込み圧倒的ディテールでもって見事に「韓国の映画」として昇華させた本作。
これまでのチャヌク作品でも見られていた耽美主義にさらに磨きがかかり、圧倒的様式美でうっとりするような映像を生み出しながらも、ひねりに次ぐひねりを見せるトリッキーなストーリーでひたすら観客を翻弄し、常に観客に驚きを与え続けます。その手腕にもううっとり。
僕が個人的に映画に求める「映像美」と「キャラクター」そして「ストーリー」この三拍子揃った、かつすべてがハイレベルまで極められた、完成度の高い大傑作でした。
また画面の作りこみから、映画内で取り上げられる創作物への造詣の深さまで、はっきり言ってこの映画はただ者じゃありません。どうやったら一人の人間からここまでの膨大な情報を映画という2次元のメディアに詰め込めるのか、本当に不思議でなりません。
そして技術的なことも。
ほとんどのパク・チャヌク作品に関わっているDPチョン・ジョンフンが再びカメラマンを務めていますが、まぁ言わずもがなですが、相変わらず美しい構図とカメラワークだこと。
とりわけこの人の移動ショットは神がかっていると言っても過言ではなく、その滑らかかつ無駄がない動きをこの作品では存分に味わえます。
そして音楽もまたチャヌク組のチョ・ヨンオクが担当。
相変わらずユニークなサウンドでこの摩訶不思議な世界への没入を助けています。
演技に関してはもう全員が全員、芸達者すぎて誰を褒めていいのやら笑
メインキャラを演じたキム・テリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウはもちろんのことながら素晴らしいサポーティングロールを見せてくれたチョン・ジヌ、チョイ役ながら重要な役どころのムン・ソリ、そして『渇き』から再登場の怪しいおばちゃんキャラを演じさせたら右に出るものはないキム・ヘスクなどなど。どうして韓国映画の俳優たちはこうも良い顔ぞろいなのか…!
これぞ僕のような韓国映画を心から愛するツウが待ち望んだ、全盛期のあのぶっ飛んだ韓国映画の再来を声高に告げる大傑作です。
この10年間はひたすらハリウッドへの迎合路線を突っ走っていた韓国映画ですが、この作品であのころの勢いが戻ってくることを切に願います。
とにかく僕にとって久しぶりに味わう幸せなひとときをこの映画は感じさせてくれました。ありがとう!パク・チャヌク!
トレーラー
Rotten Tomatoes 94%
metacritic 84/100
日本公開:2017/03
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