2016/09/03

"The Light between Oceans" 『ザ・ライト・ビトイーン・オーシャンズ(原題)』

監督:デレク・シアンフランス
出演:マイケル・ファスベンダー、アリシア・ヴィカンダー、レイチェル・ワイズ
撮影:アダム・アーカポウ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
132分

メロドラマ過ぎるけど、それでも魅せきったシアンフランス監督の手腕に拍手。

灯台守として西オーストラリアの孤島で幸せに暮らすトムとイザベルの夫婦。そんな彼らのもとにボートが漂着し、そこには男の死体と赤ん坊が乗っていた。そこで彼らがとった行動とは…。


この作品、かなり人を選ぶと思います。
『プレイス・ビヨンド・パインズ』という大傑作を生み出したデレク・シアンフランス監督の新作ということで、トレーラーを初めて観た瞬間からかなり楽しみにしていました。というわけで頻繁にレビューを気にしていたんですが、今週中盤になってポツポツとレビューが上がり始め、これがまぁびっくり。Rotten Tomatoesで最初に上がった評価がまさかの0%!笑

今となっては60%前後とまぁまぁな感じに落ち着いてますが、ダメな評価を与えていた批評家は口を揃えてこう言っていました。「めっちゃチープなソープオペラを超一流のキャストとスタッフで映画化したらこうなるで〜。」と。まぁたしかにそれも一理あるんですが、この作品、なにかが僕の心に届いたんですよね。

というわけではっきり言っておきましょう。僕は断然、この作品支持します!


シアンフランス監督お得意の家族愛とモラルのディレンマで揺れ動くキャラクターたちはしっかり健在で、かつテーマも非常に分かりやすく描かれているので、僕としては何の不満もありませんでした。
また監督のトレードマークでもある半ドキュメンタリー的な語り口もしっかり機能しており、とりわけ彼らと子供のやりとりにはすごく真実味がありました。時々、彼らが役者であることを忘れたぐらいです笑

そしてそんな演出にうまく馴染んでいた役者たちも素晴らしかったです。

マイケル・ファスベンダーアリシア・ヴィカンダー、どちらももうお互い負けじと圧巻のパフォーマンスを披露。そしてそれがしっかり映画をよくするために作用していたのが見えました。ていうかこの2人、実際にカップルだったんですね笑

またアダム・アーカポウが手がけたカメラも素晴らしく、光の使い方と風景の切り取り方はとりわけ美しかったです。なんかロケーションが素晴らしいと思う映画がことごとくニュージーランドで撮影されているのはなんなんだろうか…。もう本当に住むしかないなぁ笑

そして本作をただのメロドラマで終わらせなかった一番の原因が、アレクサンドル・デスプラが手がけた音楽。
この人の音楽、アダム・アーカポウが生み出す美しいイメージと非常にマッチしていて、正直ストーリーなしでこの2人の映像と音楽だけでも十分楽しめるんじゃないかっていうぐらい、それだけで一つの作品になっています。
本当にこれだけでもこの映画観に行く価値はあるでしょう。

まとめると、監督の前作『プレイス・ビヨンド・パインズ』にはまったく及んでいませんが、役者2人の力強いパフォーマンスと美しいシネマトグラフィー、そして涙腺に触れるスコアだけで僕はかなり満足しました。

作品のテンポとストーリーの予期しやすさがちょっと問題ですが、それ以外はまったく不満はありません。130分超えとちょっと長いですが、秋の到来を告げる大人のドラマを求める人にはもってこいでしょう。

トレーラー

IMDb                  7.3/10
Rotten Tomatoes              60%
metacritic                61/100

日本公開:未定

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