2016/05/28

"The Nice Guys" 『ナイスガイズ!』

監督:シェーン・ブラック
出演:ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング、キム・ベイシンガー
撮影:フィリップ・ルースロ
音楽:デイビッド・バックリー、ジョン・オットマン
116分

惜しいところはあるけど、いいです!

私立探偵もどきのジャクソンはある日、アメリアという娘からホランドという男に彼女を探すのを止めさせる依頼を受ける。しかしホランドは正真正銘の私立探偵であることが分かり、またそののちジャクソンのもとにアメリアの行方を捜す謎の2人組が現れ、ジャクソンは痛めつけられる。それをきっかけにアメリアを探すことにしたジャクソンはホランドと手を組み、彼女の行方を追うが、そこにとあるポルノ女優とポルノプロデューサーが関わり始め、自体は思わぬ方向に進んで行く。
果たしてジャクソンとホランドはアメリアを探し出すことはできるのか…。


まず何と言ってもラッセル・クロウライアン・ゴズリングの2人の駆け引きが最高です!この2人、ケミストリーばっちり!
新たな名バディの誕生です。

コワモテながら時々抜けていて、女子供には優しいラッセル・クロウ演じるジャクソンと、ドジでだらしないながら探偵としての腕は一流でやるときは魅せるライアン・ゴズリング演じるホランドのやり取りがもう見ているだけで楽しいんですね。

またこの2人、 キャラクターのデベロプメントもしっかりしています。
たとえばホランドは映画が始まってすぐに左腕を怪我して上映時間の間ずっとギブスをまいたままなんですが、このように視覚的にキャラクターを作るのが今作では徹底されており、非常にうまいです。

これだけキャラクターが多く、また話も複雑な中、誰が重要で誰が重要ではないかをしっかり視覚的に描きわけており、ここからもシェーン・ブラックの脚本と演出の技量の高さを感じさせます。

そして作品の雰囲気もばっちり70年代後半から80年代にかけてを細部に至るまで描いており、2016年の映画を観ている感覚ではなくなります。
それがこの作品のなんとも言えない不思議な雰囲気を支えるのに一役買っているのは間違いありません。

さて惜しかった点に入りますが、簡潔にいうとそのストーリーにあります!詳しく書きますが、ネタバレしますので以下区切ります。

ーーーーーーーーーーーー以下ネタバレありーーーーーーーーーーーーーーー


僕が気になってしまったのはストーリーのある部分でいちいち作り手の作為が見えたこと。簡単にいうとご都合主義な場面がけっこうちらほら見えてしまったんですね。

たとえばアメリアとホリーが危機一髪になった時にどこからともなく車が現れ犯人をひき逃げ、そしてそれ以降はそのことがストーリーに全く絡まなかった時や、 ホランドが運転中にうっかり寝てしまい、事故をおこして彼らがハメられたことに気づく下りなどです。
あとその後にホランドが娘の元に電話して向こうが出ない下りもまぁんなバカな、という感じ。

こういうのがあると僕は本気で萎えてしまうのでその分の評価は下がりますが、それがなければかなりの傑作になりえたでしょう。


まとめると、僕にはかなり気になる点がたくさんありました。しかしそれを持って余りある不思議な魅力がこの作品にはあります。そして僕にもそれは伝わりました。
『リーサル・ウェポン』シリーズや『L.A.コンフィデンシャル』、そしてシェーン・ブラックの出世作でもある『キス・キス・バン・バン』が好きな人にはたまらない作品のはずです。

70〜80年代のカラフルなデザインのファッションにも注目です!


トレーラー

IMDb             8.0/10
Rotten Tomatoes         91%
metacritic           70/100

日本公開:2017/02/18

追記:
2016/09/16 - 邦題、日本公開日変更しました。


ーーーーーーー予習したい、そんなあなたにおすすめーーーーーーーーー

『キスキス、バンバン -L.A.的殺人事件-』
本作の監督シェーン・ブラックの隠れた名作。


『アイアンマン3』
こちらもシェーン・ブラック過去作。嫌う人もいますが、まぁ悪くはないと思います。


『L.A.コンフィデンシャル』
LAが舞台のノワールといえばこれ。ラッセル・クロウも出てます!


『ドライヴ』
本作でコミカルな演技を披露しているライアン・ゴズリングの本来の姿(?)

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