監督:ジェフ・ニコルズ
出演:マイケル・シャノン、ジョエル・エドガートン、キルスティン・ダンスト
撮影:アダム・ストーン
音楽:デイビッド・ウィンゴ
111分
つまらん!眠い!
ある日、謎の超能力に目覚めた少年オルトン。彼と彼の父親は親友の協力を得てとある場所へ向かっていた。そんな彼らを宗教団体や政府機関が追っていた。果たして彼らは無事時間通りに目的の地へと辿り着けるのか。そしてオルトンの正体は一体何なのか…?
いろいろ言いたいことがあるので激しくネタバレします。
ーーーーーーーーーー以下ネタバレありーーーーーーーーーーー
つまらないです。
Rotten Tomatoesでめちゃくちゃ評価高いうえに監督が『MUD』を手がけたジェフ・ニコルズというわけで観る前からかなり期待してしまいました。
なんというか、すごくよくできてる感じはしますが僕の好きなタイプの作品では決してありませんでした。
その理由を1つずつ見ていきましょう。
まず物語の展開の仕方が非常にまどろっこしい。
かなり多くのことが特別な理由づけや詳しい説明など無しに進んでいくので非常に混乱します。
それが顕著なのが前半。話が飛びすぎ。
映画が始まって早々、主人公一行は追われています。しかしその時点ではなぜ彼らが逃げているのか、そして誰から逃げているのかは明らかになっていません。
そして話は突如、謎の村へ。福音派がたくさんいる村の村長さんがどうやらその主人公であるオルトン少年を養子にしたらしいのですが、なぜそう都合よく終末を信じる人のもとへいわゆる超人類の彼が引き取られたのか。偶然にしてはちょっと出来過ぎ。
そして生みの親が彼を拉致してとある場所へ連れて行こうとしているのですが、その動機と経過がまるっきりすっ飛ばされているので、ここでまず?マークのオンパレード。
さらに言うとなぜその日までに行かなければいけないのか、それも明かされません。
いちおうその理由はオルトン少年や父親のロイのセリフによって説明されます。しかしそれも「どうしてもその時間までにそこに行かなきゃいけないから。」と言うのみ。…え?
というわけで映画の最終目標があまりにも曖昧、かつ現実味がないため、それが明らかになる映画終盤まで話とキャラクターに入り込むのはほぼ不可能。
そしてさらに悪いことに、このキャラクターたちとドラマを面白くしている要素でもあるロイとサラの夫婦がなぜオルトンを養子に出したのか、というエピソードもほとんど語れられません。それかセリフで説明していて聞き逃したのだろうか…?
ていうか養子に出したくせに、この期に及んでやたら面倒見がよくなったのはなぜだ!?
警察に銃を突きつけてまで守りたい息子をなぜ養子に出したんだ!?
というわけでここいらで2番目の問題点(というかまぁまとめて3つ目も)、キャラクターの関係性と演出のお粗末さについて。
マイケル・シャノン演じる主人公のロイ。この人がもう全然現実味がなく、観ていて全然感情移入できませんでした。
そもそも息子が弱って死にそうな時にもやることといったら、虚ろな目でぼそぼそ「彼は大丈夫だ。」と言うだけ。おいおいその根拠はなんだよ!
別にすべてのことがらに理由づけが必要とは言いませんが、正直今作はそのプロセスを端折り過ぎ。そのことがいちいち映画への集中を妨げます。
おまけに自分にとってこのマイケル・シャノンという俳優が演技的にも顔的にも受け付けないタイプ…。(これは個人的なことです。すみません。)
さらにもっと僕を萎えさせたのが、あんなに強情張って息子を守る姿勢を見せてたお父さんが、映画中盤息子を政府機関に囚われてしまった時には誰よりも先に諦め、負けを宣言。ハイウェイの端におよそ10分間まるまる立ち尽くすという謎の行動に出たのです。さすがにここでは思わず声をあげて笑ってしまいました。
そして映画序盤のバンに乗った一行がガスステーションで休憩する場面でもお約束のように、待ってろと言われた子供は外に出てちょっとしたトラブルが起こります。こういう真面目な映画でこういうのを見るたびにとても残念な気持ちになります。
もっと演出の引き出しがあるでしょうに…。
そして肝心の子供オルトンも「〜しなきゃいけない」とかそんなことばかり言っていて、我々観客のことはガン無視、ご都合主義全開でどんどん話が進んでいきます。
そしてそして大ネタバレです!
この子供、超人類という設定ですが、どうやって彼は我々凡人類の世界に来たのか。
話的にも普通に産んだ子がじつはこの世界の人間じゃなくて…、ってどうしてそうなったのかが分かりません。見た目もラストに出てくる超人類とは程遠いですし。
ここが作品の肝というか観た人全員が気になる部分のはず。
ただもちろんそれも説明は一切なし。
ん〜、話が進めば進むほどモヤモヤするなぁ…。
さて俳優陣はマイケル・シャノンと子役以外は好演。
主人公ロイの幼馴染で旅の道連れになっているジョエル・エドガートン演じるルーカス。彼だけは唯一の常識人でしかもいちばん感情移入できる対象でした。
そしてとりあえずこの映画の唯一の救いとなったのが僕のお気に入りのキルステン・ダンストを観れたこと。巷ではブサイクと評判ですが、個人的に実はこの人かなり好きです笑
今作のような田舎町にいそうな平凡な主婦役もよく似合いますね。
そしてこの映画で一番よかったのがカイロ・レ…じゃなくてアダム・ドライバー。
一番ピュアでまっすぐな役どころだったからですかね…。
この人だけ役得な感じ笑
さてここまで結構悪く書いたので、まあよかったところも。
とりあえず映画のラスト10分ほどはヴィジュアル的にも話的にもかなり面白くなるので、そこだけは楽しめました。
観ていて?だった部分もここまで来るとある程度解決してますし。
ただやはりそれまでが長いのに加え、キャラクターが弱い、意味のない描写が多い、そして画的にも面白くないので全体的に観ていてかなり退屈な印象でした。
なんかこの感覚は『ルーム』を観た時と似ています。
よく出来ているのは分かるんですが、作品のトーンとテンポ。そして画的な面白さが皆無なことから好きになることが出来ませんでした。
まぁ好きな方にはかなりハマるタイプの作品だと思います。
僕には苦手なタイプの映画でした。
トレーラー
IMDb 7.1/10
Rotten Tomatoes 83%
metacritic 76/100
日本公開:未定
ーーーーーーーー予習したい、そんなあなたにおすすめーーーーーーーーー
『MUD -マッド-』
ジェフ・ニコルズ監督作品。僕は残念ながら未見です。
『テイク・シェルター』
ジェフ・ニコルズとマイケル・シャノンのタッグ作品。これも未見…。
『ウォーリアー』
ジョエル・エドガートンの隠れた名作。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
本作で好演してたアダム・ドライバーが重要な役で出てます!
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