監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:メアリー・エリザベス・ワインステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・ジュニア
撮影:ジェフ・カッター
音楽:ベア・マクリアリー
103分
2016年、年明け早々Youtube上に突如謎のトレイラーが公開された。
2008年、同じくJ.J.エイブラムス率いるBad Robotが製作した謎の映画として公開された『クローバーフィールド』。その名を冠した"10 Cloverfield Lane"が初めて公になったのはあの時が最初だろう。
今や実力派監督に成長したマット・リーヴスが監督した『クローバーフィールド』は斬新な怪獣映画として話題を呼び、続編を求める声も非常に多かった。
そんな騒動も8年前。多くの人があの時の衝撃をうっすら忘れた頃合いにふと現れた本作 "10 Cloverfield Lane"。そして今、衝撃的かつ斬新だった『クローバーフィールド』に負けず劣らずな新たなスリラーが誕生した。しかしまったく違う形で…。
ーーーーー以下ネタバレありーーーーーーー
非常に良くできたスリラーです!
トレーラーからはまったくといっていいほど何の映画か掴めない(笑)ので、ざっとあらすじを…。
恋人のもとを離れ、一人で生きていく決意をしたミシェルは家を出て誰も彼女のことを知らない地へと向かっていた。その道中、事故に遭ったミシェルだったが目覚めると頑丈なドアによって閉ざされたシェルターのような部屋に監禁されていることに気づく。
脱出をはかる彼女は、家主であるハワードによって外の世界はすでに何者かの攻撃によって滅ぼされており、行くところはないと告げられる。同じくハワードのもとで暮している青年エメットも同じことを言うが、何が本当かは分からない。果たして本当に世界は滅ぼされたのか、それとも彼らは嘘をついているだけなのか…。
まず始めに…。
これは『クローバーフィールド』の続編ではありません!笑
まったく関係ないです。
クローバーフィールドモンスターは出てきません!それを期待して観に行くとまず間違いなくコレジャナイ感に包まれます!
では何を期待していったらいいのか・・・。
簡単に言うと、この映画は密室で展開される心理スリラーです!
この映画の面白さは、監禁されたミシェルと、監禁した当人であるハワードとの駆け引きにあります。
映画は基本的にミシェルの視点で進み、まったくブレがありません。(ちなみにこれもうまいところだし、しっかり成功しているのがすごい!)
そのため、外の世界がどうなっているのかは最後の最後まで我々観客には分かりませんし、ハワードがいったい何を考えているのか、そして彼はいったい何者なのか、彼の言っていることは本当なのか。そして映画中盤で明らかになる彼の衝撃的な過去など・・・ほとんど謎が謎のまま話が進んでいきます。
ミシェルはまったくハワードを信じていませんが、ある事件をきっかけに少しづつ心を許していきます。しかしその信頼も5分後にはあっという間に疑惑に変わります。
この綱渡りをしているかのような2人の関係性がサスペンスを巧妙に盛り上げています。
そしてそのバランスの取り方が非常に上手い!
このようにストーリーの展開の仕方がとてつもなく上手く、そして全編にわたって絶え間なく緊張感が続くことから、ぐいぐいと引き込まれていきました。
監督のダン・トラクテンバーグはこれが長編第1作目だそうですが、素晴らしい、実力のある監督だと思います。
密室といういかにも金のかかってなそうな設定だからこそ、彼の確かな演出力が冴えていました。
そしてプロデューサーが謎を作らせたら(そしてそれを解決させずにいたら)世界一のJ.J.エイブラムスというわけで、今作でもかなり謎な部分が多いです。
話的にはまったく『クローバーフィールド』とは関係ないんですが、どうやら同じ世界観を共有しているらしく、めちゃくちゃ細かいところでちょいちょい前作のことが垣間見えます。しかしそれもしっかり見て聞いていないと逃すのは間違いないレベルで(僕も他の人のレビューで気づいた要素が結構ありました笑)、相変わらずヤラシイことをする人だな、J.J.という男は、と思いました笑
そして本作もお約束のように、ところどころスピルバーグ的演出が垣間見えます!笑
映画が始まって早々、最初に映る町並みからのファッションスケッチ、そして結婚指輪など、設定を徹底的にビジュアライズした語り口はまさしくスピルバーグのそれ!笑
そしてラスト付近に待ち受ける通気孔のシーンはまんま『ジュラシック・パーク』笑
まぁちゃんと効果的だったからいいんですがね笑
そして本作のもう一人の立役者といえば、家主のハワードを演じたジョン・グッドマン。
この人、めっちゃ怖い笑
お前グッドマンちゃうやろ!って言いたくなるほどのすさまじい迫力と威圧感で、主人公たちを追い詰めていきます。いや、いい俳優!
あんな巨体で目の前に立ちはだかられたら、為す術ないのは目に見えてます…笑
そしてそんな熊のような大男に立ち向かったヒロインを演じたのがメアリー・エリザベス・ワインステッド。
ただ実を言うとこの人、僕は個人的に好きではないので、ずっと彼女を見てるのはちょっと辛かったかな。いや、いい演技してましたし、まったく彼女に落ち度はないんですが・・・笑
まぁなんにせよ、僕はこの映画素直に評価したいですね!
すごく見応えある作品なので、ぜひ劇場へ!(繰り返しますが、くれぐれも怪獣は期待せず・・・笑)
トレーラー
IMDb 7.7/10
Rotten Tomatoes 89%
metacritic 76/100
日本公開:2016/06/17
ーーーーーーーー予習したい、そんなあなたにおすすめーーーーーーーー
『クローバーフィールド/HAKAISHA』
別物なので比べる意味はないんですが、僕は本作よりこちらのほうが好きでしたね。
『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』
メアリー・エリザベス・ウィンステッドを初めて知ったのはこの作品だったかな。けっこう楽しめますよ。
『ビッグ・リボウスキ』
本作で圧倒的存在感を放っていたジョン・グッドマンといえばこれ!めっちゃおもろいです、これ。
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