監督:テレンス・マリック
出演:クリスチャン・ベール、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマン
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:ハナン・タウンシェンド
118分
良くも悪くもテレンス・マリックの映画…かなぁ…。
ハリウッドの脚本家であるリックは自分の人生について考えていた。
そして彼の周りには多くの人、そして女性たちがいた。彼は彼女たちと過ごした時間について考え始める…。
まぁいつも通りといいますか、前作の『トゥ・ザ・ワンダー』からもともと難解だったマリック節はさらに曖昧さを増し、もはや作品の真意を知るのは一般の人間には無理な境地にまで達しましたが、今作もそう。
ただやろうとしていたことはなかなか興味深かったです。
リックという主人公がこれまで会った女性たち、そして身近な人々と過ごした時間をタロットカードの絵柄にちなんだチャプターごとに振り返っていく、という構成です。
そもそも文字通り詩的(モノローグの多いこと!)な作品をマリックは作り続けていますが、その作風と今作のチャプター形式の構成の組み合わせはなかなか面白いなと思いました。
がしかし上映時間が過ぎるにつれ、感じ始めました。あれ、これあまりうまく機能していないぞ、と…。
まぁタロットカードの意味まで理解していれば、そのシーンやキャラクターの真意が見えてくるのかもしれませんが…いや、そんなことはないな。推測すら出来なかったもんなぁ笑
さて、ちなみにですが僕がなぜ普段毛嫌いする"アート映画"を作り続けるテレンス・マリックのことを嫌いになれないかというと、その理由はとてつもなく美しい映像にあります。
今作のDPを担当したのは、先日3年連続オスカーという偉業を成し遂げたマリック作品常連の名カメラマン、エマニュエル・ルベツキ。この人のカメラは今作でももう相変わらず素晴らしかったです。
パキッとした固定画とまるで空気を漂っているかのような"構図"無視の手持ちショットのコンビネーションは健在で、本当にうっとりします。美しいです。
そして編集に関して、かなりチョッピーなのが少し気になりましたが、おそらく画に関してまったくノープランであったであろうテレンス・マリックのディレクションによくぞここまで一貫性を保てたものだ、と編集マンの技量を感じました。そもそもこの人めちゃくちゃな量を撮ることで知られているので、編集マンが4人もいるのも結構納得な物量だったと思います笑
それに加え今作では撮影に35mmフィルムカメラの他に65mmやRED、そしてまさかのGoProまで使用されており、もはや実験映画の域。
そんな幅広いメディアを使用して、ルックのバラつきがあったに違いないにも関わらず、作品のトーンをしっかりと保てていたことに驚き!
しかし最初にも書いた通り、やはり全編を通してこの映画の言いたいことや、やりたいこと、そして究極的にどこが面白い部分なのかを知ることなく、映画館をあとにすることになりました。
なんというか観終わった後ぼーっとした頭で、この2時間自分はいったい何を観ていたんだろう…と結構本気で悩む感じの作品でした。そして実際に悩みました。
そんなことを考えて帰路についていると、不思議にも頭がリフレッシュされたような感じになり、突如世界がこれまでと違って見えたのです!
そこで気づきました。そう、この映画はこの"禅"の瞬間を表現したかったのではないかと!
実際に観ている間、自分の頭の中が空っぽになったのを感じましたし笑
というわけでまとめですが、この作品は美しい映像とサウンドで紡がれる、一人の男の"禅"探求の魂の旅なのです。映画的にはさっぱり面白くなかったですが、1年に1本ぐらいはこういう映画もありかなと思います。
うまくまとめられてないですが、とりあえずテレンス・マリック好きの人ならそれなりに楽しめるはずです!
トレーラー
IMDb 5.8/10
Rotten Tomatoes 47%
metacritic 54/100
日本公開:2016/12/23
追記:
2016/08/19 - 邦題、日本公開日変更しました。
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