2015/11/20

"Trumbo" 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

監督:ジェイ・ローチ
出演:ブライアン・クランストン、マイケル・スタールバーグ、ダイアン・レイン
撮影:ジム・デノールト
音楽:セオドア・シャピロ
124分

なかなか面白いです、これ!

1940年代、ハリウッドいちの高給脚本家ダルトン・トランボの書く作品はことごとくヒットし、彼は順風満帆なキャリアを歩んでいた。
そんなある日、共産主義的思想を取り締まるいわゆる「赤狩り」が波及し、トランボを含め、議会での証言を拒否した映画界の共産党員は「ハリウッド・テン」と呼ばれ、次々と仕事にあぶれていく。そんな中、トランボが思いついた案は偽名を用いて、思想をまるで気にしないB級スタジオのために脚本を書き続けることであった。


この作品を初めて知ったのは劇場でトレーラーを観たときです。すぐにこれは面白そう!っと思いましたが、その直後に監督がジェイ・ローチと知って、正直かなりがっくりきたのを覚えてます笑
が、そんな早とちりな僕の失望に反してなかなかよくできてました、この作品。


まず初めに脚本がすごく秀逸です。

赤狩りという日本人にはあまり馴染みのないアメリカ冷戦時代をこれ抜きでは語ることができない一大事を迫害にあった当事者の視点から描きつつも、決して暗くなることはなく、絶妙なバランスでトランボ一家のドラマから友人との衝突、そしていかに勝利を勝ち得たかを描いています。

そして本作の立役者は間違いなく、ウォルター・ホワイ…じゃなかったブライアン・クランストンですね。
飄々としていながらも自身の思想・信念を曲げずに戦いを勝ち抜いた男を見事に演じていました。
これまで映画では大した役に恵まれていなかった彼ですが、ようやくこの人の実力に合ったキャラクターを演じられたのではないでしょうか。

撮影に関してはなんというかこの時代設定でパリパリのデジタル撮影を行っていてちょっとどうなのかなと初めは思いましたが、まぁあまり画面にこだわってる風ではなかったのでそこはいいのかなと自己解決しました。
美術もあまり凝っている感じはしなかったですが、やっぱりそこらへんはジェイ・ローチだからね…。


ところで同じテーマを扱った作品にジム・キャリーが主演したフランク・ダラボンの『マジェスティック』という映画がありましたが、みなさま覚えていらっしゃるでしょうか?
ちなみにその作品でジム・キャリーが演じていた役も赤狩りで仕事と恋人を失った脚本家。おそらく本作で描かれている事件をベースに物語を構築したのでしょう。
これだけこの話が何度も映画化されるというのは、やはり現代の映画人にとってこの時代のハリウッドと赤狩りの関係を描くことに魅力を感じている証拠なのかもしれません。

もう一つこの映画の面白いところはハリウッドで実際に起こったことをベースにしているので、実在のハリウッドスターたちが出てくるのです。
こういう部分はいち映画ファンとして単純に観ていて楽しかったですね笑

クラシックに全然詳しくない自分でも、エドワード・G・ロビンソンやジョン・ウェイン、カーク・ダグラスからオットー・プレミンジャーまで名だたるスター(そして監督)たちがいかにこの事件に関係していったかを知るのはかなりわくわくしました笑
とりわけ後者2人は激似でした笑

まとめると、この時代のハリウッドに詳しい映画ファンのあなたなら楽しめることは間違いないです。そしてその時代のことはなにも知らないあなたでも、知るきっかけとしてとても分かりやすく作られているので、「赤狩り」入門として最適かもしれません。

少しでも興味のある人にはオススメできる作品です。


トレーラー

IMDb         7.2/10
Rotten Tomatoes     71%

日本公開:2016/07/11

追記:
2016/04/13 - 邦題、日本公開日変更しました。

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