監督:リドリー・スコット
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィッグ
撮影:ダリウス・ウォルスキー
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
141分
非常によくできた佳作!
宇宙飛行士マーク・ワトニーは任務中に起きた事故により、一人火星に取り残されてしまう。しかし彼は決して諦めず、知力を駆使してなんとか生き延び、地球に戻る術を見つけようと奮闘する。果たして彼は生きて地球に帰ることができるのか…。
リドリー・スコットといえば傑作と超駄作の差が激しい監督。なのでいちファンとしては新作が出るたびにヒヤヒヤしている。
前作『エクソダス:神と王』はそれはもうとんでもないほどの駄作に落ち着いたわけだが、今回はどうか。
やりました、リドリー・スコット!これを待ってた!
彼の作る映画は基本的にシリアス路線(『マッチスティック・メン』のようにたまにコミカルになったりするが…)だが、今回はかなりポップ。
原作がどういう雰囲気なのかは知らないが、キャラクター個人個人の思いよりも1つの目標に向かって知恵を絞っていく人々の群像劇が描かれているため、思いの外ダークにはならない。
主人公ワトニーに関しても、火星に取り残された孤独や不安よりも「生きる」という1つの目的のためにどう行動し、どう考えたかが描かれていく。
昨今の映画にしては珍しく、あまり登場人物の内面に入りすぎないさじ加減が今作ではかなりうまく機能している。
人っ子一人いない場所に一人取り残された苦悩なんぞ、これまで腐るほど描かれてきたのでね。
そのため今作のアプローチは間違いなく成功であったと言える。
ーーーーー以下ネタバレありーーーーーー
注目すべきはマット・デイモンで、やはり素晴らしい演技をします、この人。
映画のクライマックスで火星から脱出する際、ワトニーは何年かぶりに自分以外の人間の声を無線で聞くのですが、その時涙するマット・デイモンの表情は本当に何年も人の声を聞いていなかったかのような嬉しさと安心感があふれ出た表情で、僕も自然と涙が溢れ出ました。
キウェテル・イジョフォーがなかなかいい味出してましたが、いかんせん他の人たちはマット・デイモンと関わることがほとんどいないので、なんだか本編と切り離されてるような印象を受けました。
ここはもう少し脚本を練った方が良かった(詳しく言うとキャラクターをもう少し整理したほうが良かった)と思いますが、マット・デイモンの熱演やダリウス・ウォルスキーの美しいシネマトグラフィー、そして相変わらず宇宙ものをやらせたら右に出るものはいないアーサー・マックスの美術。あらゆる要素がうまく機能し、しばらく不作続きだったリドリー・スコットのフィルモグラフィーに新たな代表作を刻み込みました。
これは間違いなく必見の一本です!
トレーラー
IMDb 8.5/10
Rotten Tomatoes 94%
日本公開:2016/02/05
2015/10/06 -邦題、日本公開日変更しました。
『エイリアン』
リドリー・スコットのSFといえばこれ。
『プロメテウス』
自分的には結構面白かったけどなぁ…。
『エクソダス』
監督の前作。今作と比べてびっくりするぐらい超駄作。
『グラディエーター』
自分にはハマりませんでしたが、一般受けは良いようで一応紹介。
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