監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:ヨハン・ヨハンセン
121分
数年に一度の傑作バイオレンススリラー!
FBIの前線で活躍するケイトはある日、謎の政府組織から来たマット・グレイバーという男に引き抜かれとある作戦の一員に。その際、彼に同行していた謎の男アレハンドロとも行動を共にし、何度もメキシコとアメリカの間を往復することになる。その度に命の危険にさらされるケイト。果たして彼らの目的、そして正体とは…?
ここ大事なのでもう一度書きますね。
監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ、撮影ロジャー・ディーキンス、音楽ヨハン・ヨハンソン、主演エミリー・ブラント。
何ですか、これは。それこそ夢に見たようなドリームチーム。
彼らの作る映画が面白くないわけがなく、実際に素晴らしい出来でした。
始めに言いますが、僕はこのドゥニ・ヴィルヌーヴという監督の大ファンです。アカデミー賞にノミネートされ、注目されるきっかけとなった『灼熱の魂』、このたった1本で僕は完全にノックアウトされました。十何年に一度の大傑作です。
本作はそれに比べるとやはり劣ってしまいますが、十分傑作の範囲に入っています。
そして監督のこれまでの作品と同様、常に刻み込まれたような緊張感が画面を支配しています。
そう、撮影監督はロジャー・ディーキンス。普段はビスタ派の彼が今回は珍しく2.35:1のシネマスコープ画角で撮っています。これがさらに画面にパリッとした緊張感を与えています。そして彼の作り出すシャープにコントロールされた光のバランスはさすがとしか言いようがありません。
そして音楽を担当したのがヨハン・ヨハンソン。この人のことは去年初めて知りました。
その作品がそう、去年の私的ベストである『博士と彼女のセオリー』です。
あの美しくも儚い曲を生み出したコンポーザーがこんなハードコアなサスペンスに起用されるのはちょっと意外でしたが、もう今回も素晴らしいです。前回の美しいリズムとは打って変わって、今回は前衛的とでも言いましょうか。メロディラインをバッサリ無くし、ひたすら緊張感、不安感をあおるような弦楽器の響きで構成されています。
これが本作にうまくマッチしてるのなんのって!
そして主演のエミリー・ブラント。
ここまで真面目に書いてきましたが、正直に言いましょう。僕はこの女優さんめっちゃタイプです笑
というわけで今作では去年の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でも見せたような強い女性像を凛と演じています。
それでいながらあまりにも過酷な現実に突きつけられた時に見せる可憐な表情にドキッともしてしまいます笑
男社会でもみくちゃにされる強い女性像をただ1面から見せるのではなく、繊細な裏の顔もしっかりと演じ分けていて素晴らしかったです。
さて実は今回、影の主役がベニシオ・デル・トロ(いつからベニチオじゃなくなったんだろうか…?) 。
アウトローというか何をしても許されるキャラクターということもあって、やはりそういうキャラはかっこいいです。
結局、最後の最後までこの人物が何者なのかは明らかにならないのですが、これがすごくサスペンスを盛り上げます。
そしてジョシュ・ブローリンもかなりハマり役。何十年もこのドロドロした麻薬戦争の真ん中にいただけある、肝の据わった役どころを軽妙に演じていました。
『インヒアレント・ヴァイス』でも思いましたが、この人どんどんいい役者になっていってると思います。近々オスカー獲ってもおかしくないと個人的には踏んでいる。
さぁここまで書いたことを読めば一目瞭然でしょう。
これは間違いなく今年必見の1本です。
才能あふれるキャスト、クルーが生み出した至れり尽くせりの2時間。圧倒的緊張感とともにあなたを闇の世界へといざないます。
トレーラー
IMDb 8.1/10
Rotten Tomatoes 93%
日本公開:2016/04/09
追記:
2015/10/08 邦題、日本公開日変更しました。
2015/12/10 日本公開日変更しました。
『灼熱の魂』
まだ観てない人が羨ましくなるようなドゥニ・ヴィルヌーヴが生み出した傑作ドラマ。美しくも衝撃的な家族のドラマに圧倒されます。
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
エミリー・ブラントはこういう強い女性像が似合います。映画自体も素晴らしい出来。
『プリズナーズ』
撮影監督ロジャー・ディーキンスとドゥニ・ヴィルヌーヴが初めてタッグを組んだ濃密なサスペンススリラー。本当に美しいです、彼のカメラワークは。
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