監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン、アリシア・ヴィカンダー、ジュリア・スタイルズ
撮影:バリー・アクロイド
音楽:デイビッド・バックリー、ジョン・パウエル
123分
ボーンシリーズの中では一番出来は悪いけど、それでも見応えは十分!
世間の目から隠れてひっそりと暮らすボーンのもとにかつての同僚であったニッキーが現れる。彼女はCIAの極秘ファイルにアクセスし、ボーンがかつて参加していたプログラム、トレッドストーンの新たな情報を得たことを彼に告げる。その情報には彼が今まで知らなかった新たな秘密が隠されていた。そしてジェイソン・ボーンの新たな戦いが始まる…。
批評家、そして一般ファンからあまりよろしくない評価を受けている本作。
ただ観てもらえば分かりますが、それはこの『ボーン・〜』シリーズというあまりに完璧な3部作の続編であるからでしょう。
というわけでこの作品、世間一般に言われてるほど悪くないです。
ただ問題なのはまぁまぁな出来だということ…。
これまでアイデンティティー、スプレマシー、そしてアルティメタムと続編が出来るたびに自身で築いたブランドをさらに高みへと押し上げ、3部作ものでこれ以上のシリーズはない!というほどの完成度だったと個人的には思います。
そんなわけで9年ぶりのシリーズ最新作(『ボーン・レガシー』はもちろんカウントしません)。旧作のファンなら期待せずにはいられないでしょう。
それがまあまあな出来なわけですから、そりゃちょっと大袈裟な反応があっても理解できる気がします。
2のように極上のスリラーでありながらもう混乱しそうになるぐらいの物語のレイヤーで圧倒するわけでもなく、3ほどアクションヘビーかつ全編フィナーレ感に溢れているわけでもありません。
本作はまぁまぁ楽しめる普通のサスペンスって感じです笑
そしてこの作品のもっとも残念だった部分は、かなり繰り返しが多かったこと。
CIAが唐突に現れるボーンの追跡に躍起になり、かつ別働隊でボーンを狙う暗殺者の様子が描かれるという、まぁかなりマイルドな三つ巴の追いかけっこが続くわけですが、正直全編このパターンの繰り返しなのでちょっと飽きてきます。
グリーングラス監督の演出のおかげで確かにハラハラドキドキはするんですが…もうちょっとバリエーションが欲しかったのが正直なところかな…。
そしてもっとジェイソン・ボーンのドラマが観たかった!
今回CIA側の描写がかなり多いんです。まあ今ノリに乗ってるアリシア・ヴィカンダーちゃんを使いたいっていうのは分かるんですがね…。マット・デイモンよりヴィカンダーちゃんのほうが映ってる時間多かったですもん笑
というわけでなんかそこらへんから次の作品のセットアップをやってる臭いがぷんぷんしました。次作ではあの人がヒロインになるのか、とか簡単に想像できる。
もうそういうのいいからジェイソン・ボーンだけで楽しませてくれ!
そのほかにも残念だったのが、これまで『ボーン・〜』シリーズ全作を手がけたDPオリヴァー・ウッドがこの作品に関わっていなかったこと。
まぁバリー・アクロイドもグリーングラス監督とこれまで何度も組んで良い作品を生み出してますから、問題はないんですがやっぱりウッドのあの手ぶれカメラの切れ味はそうそう出せるもんじゃないです。
まぁまとめると、アクションはしっかりと楽しめますし、作風も旧三部作をしっかり踏襲。ジェイソン・ボーンが帰ってきた感はしっかりと感じられます。
ただせっかくの新作なので、一作目『〜・アイデンティティー』がそうやって新たなスタンダードを築いたように、むしろこれまでの概念をぶち壊してもっと新しいことに挑戦しても良かったんじゃないかなと思いました。
シリーズの大ファンとしてはちょっと残念な出来でした…。
トレーラー
IMDb 7.1/10
Rotten Tomatoes 57%
metacritic 58/100
日本公開:2016/10/07
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