2016/08/13

"Hunt for the Wilderpeople" 『ハント・フォー・ジ・ウィルダーピープル(原題)』

監督:タイカ・ワイティティ
出演:サム・ニール、ジュリアン・デニソン、リマ・テ・ウィアタ
撮影:ラクラン・ミルネ
音楽:ルーカス・ペイウェル・ブダ、サミュエル・スコット、コンラッド・ウェッデ
101分

2016年必見の大傑作!

新たな里親の元に引き取られた問題児リッキー。彼はそこで新たな居場所を見つけるが、平穏は長くは続かなかった。ひょんなことから森で生活することになったリッキーと里親のヘックは、彼らの後を追う児童保護施設職員と警察の手から逃れるため大逃走劇を繰り広げるが…。


まだ気が早い気もしますが、まぁ更新の可能性もあることを断わったうえで宣言しましょう。
2016年のベスト映画です、これ。

まずキャラクターのデヴェロプメントが完璧。出てくるキャラクター全員が愛らしく、全員が全員スクリーン上で、物語のなかで生きているのが感じられました。
とりわけストーリーの中心人物にもなる偏屈老人ヘックと問題児リッキーのコンビは素晴らしく、この2人のバディ感なんかもう最高。
そして二人を追う児童保護施設職員と地元の警官の2人もいい味を出していて、物語にチャーミングさを添えています。

そしてその2人組を筆頭にサポーティングキャラクターたちでさえもみんなおかしく、そして誰一人として無駄になっていないところに僕はこの脚本の輝きを垣間見ました。

あと、ストーリーのビートとテンポ、そしてそれをつなぎ合わせた編集も完璧。
スタイル的にはオフビートさを増したエドガー・ライト作品とでも言いましょうか。構造的には非常にエドガー・ライト的ですが、肉付けの仕方にタイカ・ワイティティ独自の個性が際立っていました。シュールなショットとかね。

キャラクターのことと併せて、本当に素晴らしい脚本です、これ。


また撮影も広大なニュージーランドの大自然が舞台ということもあり、背景だけでも画面映え十分です。さらにマジックアワーの使い方や風景の切り取り方なども美しいです。
それでいながらまったくストーリーの邪魔をしておらず、むしろ下手したらオフビートになりすぎるストーリーに華と奥行きを加えることに成功しています。
撮影を担当したラクラン・ミルネ(ニュージーランドの名前だから読み方合ってるか分かりません…)というDP、まったく知らなかったんですが映画的感性と構図の知識をふんだんに持ち合わせてます、この人。
もっとこの人の切り取る画を観てみたいですね。

そして音楽も作品の世界観にマッチしており、これまた完璧。

また非常に笑える場面も多く、コメディとしても十分に楽しめます。(まぁ登場人物全員キウィ訛りなのでけっこう理解できない部分も多かったですが…笑)


まとめると、この作品には僕が映画に求めるすべてが詰まっていました。これほどよく出来たバディ・ロード・ムービーは生涯ベストにも入る『レインマン』以来。
老若男女問わず必見の大傑作です!

トレーラー

IMDb             8.4/10
Rotten Tomatoes         99%
metacritic           80/100

日本公開:未定

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