監督:ジェームズ・シェイマス
出演:ローガン・ラーマン、サラ・ガドン、トレイシー・レッツ
撮影:クリストファー・ブロヴェルト
音楽:ジェイ・ワドリー
110分
結局最後までなんの映画だったのか分からんかった…。
朝鮮戦争真っ只中のアメリカ。
ニューアークの肉屋で育ったマーカスは真面目に勉学に励み、奨学金を得てオハイオ州の小さな大学へ。そこで出会ったクラスメイトのオリヴィアに一目惚れをするが、彼女には重大な過去が隠されていた...。
宗教や人種マイノリティ、そして家族の関係などを細かに描き、実にフィリップ・ロスらしい題材をこれでもかと詰め込んだ本作。
もともとはアン・リーを監督に想定していたらしいですが、はっきり言って文芸作品を得意とするリーが監督していればかなりの傑作になったに違いないでしょう。
ただ今作はなり得たであろう出来からはほど遠かったです。
まず一番の問題点が、この作品の描きたいことが終始定まっておらず、あっち行ったりこっち行ったりするのでストーリーやキャラクターに感情移入しづらいのです。
田舎から出てきたフレッシュマンの大学生の初々しさを描きたいのか、朝鮮戦争の影を感じながらも必死に生きるひねくれ青年のドラマを描きたいのか、はたまた一筋縄ではいかない恋愛模様を描きたいのか。
このどれもちょっとずつ描いており、しかもそれが忘れたころにやってくる程度なのでまったくストーリーを良くするのに役立っていません。
おそらくですが、これらが原作の要となっており、脚色の段階で可能な限り原作のテイストを残そうとしたのが裏目に出たのかなと...。
しかし役者陣は好演でした。
ローガン・ラーマンは非常に素晴らしかったです。『ソーシャル・ネットワーク』のマーク・ザッカーバーグのような、理屈っぽくコミュニケーションが非常に取りづらい偏屈なキャラクターをまったく嫌味っぽくなく演じており、ベストキャストだったのではないでしょうか?
そしてヒロインのオリヴィアを演じたサラ・ガドン。めちゃかわいいです。ていうかめちゃキレイです。
それでいて不思議な魅力を持つオリヴィアという難しい役どころをごく自然に演じており、今後チェックしたい女優の仲間入りですね。
学部長とマーカスの16分にも及ぶ会話シーンや、マーカスとオリヴィアの恋愛模様など見どころとなりえそうな部分はいくつもあったんですが、正直どれも追求不足。
これらをうまく演出できていれば素晴らしい映画になったでしょう。
また幕切れも非常に唐突。本当にそれまで丁寧にセットアップして展開していた物語を大急ぎでまとめに入り、そしていきなり終わります。
最初にも述べましたが、このトーンのちぐはぐさがこの映画の最大の失敗。
まとめると、まぁひどい出来とは言いませんが、かなり良くなりそうな部分をことごとく取り逃がしていて非常に惜しい作品だなと思いました。
ただ役者陣の好演や50年代のアメリカ郊外の雰囲気を味わうには良い作品でしょう。
トレーラー
IMDb 7.7/10
Rotten Tomatoes 80%
metacritic 79/100
日本公開:未定
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