監督:デヴィッド・マッケンジー
出演:クリス・パイン、ベン・フォスター、ジェフ・ブリッジス
撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
音楽:ニック・ケイヴ、ウォーレン・エリス
102分
超がつく大傑作ウェスタンクライムドラマ!
ローンの返済に困ったタナーとトビーのハワード兄弟はそのローンの貸し出し先でもある銀行の強盗を計画し実行する。同じ銀行の支店を狙い続ける彼らは成功を重ね、最後の目的地オクラホマへとたどり着くが、そんな彼らの行方を保安官の追跡網が追っていた…。
これ、めちゃくちゃ大傑作です。
骨太な人間ドラマと兄弟愛、そしてそこに現代アメリカが抱える問題(住宅ローンや地方の貧困、そして人種間の問題などなど)をうまく絡め、エンターテインメント作品としても社会派としても、まるで抜かりのないほぼ完璧な作品に仕上がっています。
さらにこの作品で僕が一番ぶったまげたのが、笑える場面が多いところ。
やってることは重厚な社会派、もしくはシリアスなアクションで取り上げるような題材なのに会話やキャラクターで見事に観客をエンターテインしているんです。
はっきり言ってこれには僕は脱帽でした。なんという素晴らしい脚本!
ちなみに脚本を書いたのは『ボーダーライン』"Sicario"を手がけたテイラー・シェリダンですが、あの作品と結構似たテイストにも関わらず、こんなにも真逆のトーンでストーリーテリング出来ることに驚きです。
というわけでそんな素晴らしい脚本に的確に生命を吹き込んだデヴィッド・マッケンジー監督。お見事です。あなたは唯一無二の才能あふれる監督だ。
監獄映画の傑作でもある前作『名もなき塀の中の王』"Starred Up"で並々ならぬ演出力を発揮していたマッケンジー監督ですが、本作ではさらに熟練した演出力を披露。
というわけでそんなマッケンジー監督のディレクションのもとで素晴らしい演技を俳優陣は存分に披露していました。
クリス・パイン、ベン・フォスター、そしてジェフ・ブリッジス。
おそらく彼らのフィルモグラフィーのなかでもベストのパフォーマンスだったんじゃないでしょうか?とりわけ荒くれ者の兄タナーを演じたベン・フォスターは惚れ惚れするような男気を魅せ、何度この人のシーンで胸がアツくなったことか…。
そしてそれぞれの信念を基に行動する漢同士がクライマックスのバトルで衝突するわけですが、このシーンはもはや涙なしでは観られませんでした。男泣き必須です。
まとめると、これを観逃す手はありません。
素晴らしい才能が集まって作られた、ほぼ完璧に近い映画と言っていいでしょう。
これは2016年どころではなく、生涯のベストに入るなぁ…笑
トレーラー
IMDb 8.2/10
Rotten Tomatoes 98%
metacritic 86/100
日本公開:Netflixで配信
追記:
2016/12/17 - 邦題、日本公開日変更しました。
アメリカからDVD取り寄せて観ました。確かに傑作だと思います。それにしても劇場未公開なんて!
返信削除