2016/06/23

"The Wailing (Goksung)" 『哭声 コクソン』

監督:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン、ハン・ジョンミン、チョン・ウヒ
156分

見応えはあるけど傑作とまではいかないかな。

謎の猟奇殺人事件が多発し村民が多く犠牲になった村。そこで警察官として働くジョングは事件の謎を追ううち、ある謎の日本人の噂を聞く。その日本人は突如この村に住みつき、それ以来この事件が続いているという。
その日本人の正体を追うジョングは自分の娘に事件に共通して見られた謎のあざを見つけ、解決を急ぐことになるが、娘の容体は悪化していき…。


そもそも僕、この作品がどんな内容か調べず、ただナ・ホンジンの新作だということで観に行ったので正直その内容に戸惑いましたが、総合的に考えるとよく出来た作品だったと思います。

メインのストーリーはある田舎の村で起きた謎の猟奇殺人事件の犯人を見つけようとするところにあるのですが、犯人が誰か、というところにあまり重点を置いていないことは映画が進むにつれ分かってきます。

むしろこの映画が目指したところは、「超常現象」を信じるか否か、という点です。(観客が、じゃなくて映画内のキャラがね。)

そして韓国映画ということもあり、逆説的に神を信じるか(なぜならこの「超常現象」の原因は「悪魔」の行動だと思われているためです。)、という壮大なテーマになっていきます。

まぁ正直この作品の語り方も魅せ方も真新しい物はなくさらにテーマの深さも作品のトーンと必ずしもマッチしておらず、少し残念に思いましたが、非常に堅実なスリラーとして仕上がっていたので、まぁ及第点とします。

俳優陣ではこれまで僕もいまいちよく知らなかったクァク・ドウォンがあの飛ぶ鳥落とす勢いのファン・ジョンミンを抑えて堂々と主役を張っていますが、んー。ちょっと役不足感は否めなかったなぁ。やはりカリスマ性が足りないというか、主役をやるタイプの人ではないと思います。根拠があいまいで申し訳ないですが、ちょっと画面映えするタイプではないのです。

出演時間が短いファン・ジョンミンのほうがやっぱり映えてるんですよね…。

そしてそんな主役を見事に食ったのがミスターサブキャラの國村隼!
この人、めっちゃ不気味でいい味出してました!こんなに芸達者だとは、日本の映画を観ているうちは思いもしなかった…。この人がこの映画を盗んだと言っても過言ではない怪演でした!


まとめると、かなり破綻はしてますが良い韓国映画に共通して見られる欠点を隠す勢いがこの作品でもしっかりと見られたので、145分という長尺ながらしっかり集中して観られました。

猟奇殺人スリラーが好きな人は楽しめると思います。ちょっとあまりに現実離れし過ぎてますが…笑

トレーラー

IMDb              8.0/10
Rotten Tomatoes          100%
metacritic            80/100

日本公開:2017/03/11

追記:
2016/12/26 - 邦題、日本公開日変更しました。

ーーーーーーー予習したい、そんなあなたにおすすめーーーーーーー

『哀しき獣』
ナ・ホンジン監督の2作目。個人的には『チェイサー』より好き。動物の骨で人を殺すキム・ユンシク兄貴の勇姿を見よ。


『チェイサー』
ナ・ホンジン監督渾身のデビュー作ながら本国で大ヒットを記録したバイオレンススリラー。めっちゃ怖いっす。


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