2016/06/22

"Finding Dory" 『ファインディング・ドリー』

監督:アンドリュー・スタントン、アンガス・マクレイン
出演:エレン・デジェネレス、アルバート・ブルックス、エド・オニール
撮影:ジェレミー・ラスキー
音楽:トーマス・ニューマン
103分

楽しめたけど物足りなかったなぁ…。

なんでもすぐに忘れてしまう記憶障害を持つドリーは、ある日自分の両親のことを思い出し、彼らを探すためカリフォルニアへと向かうことに。そこにニモとマーリンの2人も同行し無事に到着するが、早々にドリーと2人は離れ離れになってしまう。
果たしてドリーは両親を見つけることができるのか、そしてニモとマーリンはドリーを見つけることができるのか…?


やはり観ていて楽しいです、ピクサーの作品は!

とりわけ本作はかなりペースが早く、次から次へとイベントが起こり続け場所もどんどんと移動していくので飽きることなく楽しめます。ちょっと忙しすぎると感じるほどです笑

この矢継ぎ早に楽しませる姿勢は非常に好感度大で、実際にこの作品で一番褒められる部分はここだと思います。

ただこのやり方には一つ問題があって、見事にピクサーもそれにはまっていました。

前作ではニモは歯医者さんに囚われており基本的に冒険するのはお父さんのマーリンの方でしたね。しかし本作では一旦カリフォルニアに着いてしまって以降ちょっと複雑になっていきます。
ドリーは両親を探していますが、 ニモとマーリンはドリーを探しています。この2グループの追いかけっこが同時進行で描かれるので、ちょっとあまりに忙しすぎるのです。

おまけにニモとマーリンが追いかけているドリーもまた常に移動しているので、なんというか観ているこちらはイタチごっこな感覚。

目的ははっきりしているけど、どうやってが常に曖昧なまま話が進んでいくので、ちょっと不親切な感じがしました。


そしてもう一つ気になったのが、キャラクターの無駄遣いが非常に多かったこと。
行き先に困ったら突如現れて道筋を示しそれだけで消えていくキャラクターがまぁ多い。

そして新キャラたちもいまいちデヴェロプメントが足りていないというか、ハンクもいいキャラしているのにバックグラウンドの説明が皆無で、ニモたちが出会うアシカ(?)の2人組も、中盤であることをして以降はただいるだけになります。

1作目ではそれはまだ許されました。というのも作品の根本にあるテーマが冒険だったからです。住処から出たことがなかったマーリンはニモを救うために一歩踏み出し、そして色々な魚たちと出会うことで自らの成長に繋がっていましたから。
前作ではマーリンとニモが出会う魚たちはそこまでデヴェロプされる必要はなかったのです。

今作ではそういう出会い=成長のような公式が成り立たないため、観客は必然的にサブキャラクターたちのことも気にしてしまいます。ところが本作ではそういうことにはまったく踏み込みません。

これまでキャラクターを大事にしてきたピクサーらしからぬ姿勢というか、個人的にそれが終始引っかかりました。


またメインストーリーであるドリーと家族の話もいまいち盛り上がりに欠け、もっと感動的に作っても良かったんじゃないかな、というのが正直なところです。

なんだか全てがあっさり作られていて、観終わったあと非常に物足りない気分になりました。
個人的にアンドリュー・スタントンが監督した長編作品ではワーストだと思います。
まぁそれだけこの作品(というよりアンドリュー・スタントン)に期待していたんですね。

視覚的にもカリフォルニアの汚い海が舞台なので、画面映えはしないですし。
前作の方が僕は好きでした。

あ、念のためもう一度言っておくと僕はこの作品楽しめましたよ!ただアンドリュー・スタントン作品だと考えると、もうちょっと出来ただろうというのが正直なところです。

トレーラー

IMDb             8.2/10
Rotten Tomatoes         94%
metacritic           77/100

日本公開:2016/07/16

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