2016/06/12

"The Lobster" 『ロブスター』

監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、ジェシカ・バーデン
撮影:ティミオス・バカタキス
118分

おかしくも美しい純愛映画!

独身のままある一定の年齢に達すると動物に変えられてしまう近未来。主人公のデイヴィッドは動物に変えられる前の最後のチャンスとして作られたとある施設へ、パートナーを見つけるため入居することに。しかしそこにいるのは癖のある人間ばかり。
とある事件をきっかけに施設を脱出したデイヴィッドは、逃げ延びた森の中で独身として生きることに決めた集団と出会う。そこで出会った美しい女性と出会い、恋に落ちる。
しかしその集団では恋愛が禁止されているため、2人は隠れて関係を深めていくが…。


正直観る前は出落ち映画じゃないかと心配でしたが、観てみたらそこまで設定に頼っているわけでもなく、しっかりとキャラクターとストーリーで魅せてくれました。
というわけでなかなかいいです、この映画。

とてつもなくダークでシュール。けれど意地悪すぎないところが僕的には好印象でした。感覚的にはミヒャエル・ハネケの映画から意地悪さを9割ぐらい引いた感じ。

これは見方によっては純愛映画ですし、ダークコメディですし、またギリシャ悲劇のようなかなり心にずっしり来るタイプのドラマでもあります。
ただこの作品の面白いところはこういった要素がしっかりと共存しているところでしょう。

それがこの作品を一風変わったものとしている大きな要因。

そして特筆すべきはやはり主人公のデイビッドを演じたコリン・ファレル
この人、昔からけっこう好きでこの人目当てで映画館に行くことがよくあります。『ニューヨーク 冬物語』っていう駄作も劇場に観に行きましたしね笑
タイプは違いますが、ジェイク・ギレンホール的な立ち位置ですね。

そんなわけで彼は今回中肉中背でダサいメガネ、ダサい髪型で熱演しているわけですが、見事にこれまでのイケメンのオーラがまったくなくなっていました。視覚的にも精神的にも役に入り込んでいるのが一目でわかりましたし、あんなに実生活でぶいぶい言わせてた人がこんなに変わるのかと、ちょっと驚愕…笑

さて本作のメガホンを取ったギリシャ出身のヨルゴス・ランティモスはアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた『籠の中の乙女』という作品で一躍有名になりましたが、本作では英語作品にチャレンジ。
前作にあったあの奇妙な作風を残しながらも、もっとしっかりとした骨組みのある作品を作り上げ、非常に見応えある作りになっていました。

映画好きなら今作のオリジナリティあふれるストーリーとストーリーテリングに目を見張り一般の観客も一風変わったラブストーリーとして楽しめるという、間違いなく変な映画ながら幅広い客層に受け入れられる稀有な作品だと言えます。


トレーラー

IMDb          7.2/10
Rotten Tomatoes      91%
metacritic        80/100

日本公開:2016/03/05

ーーーーーー予習したい、そんなあなたにおすすめーーーーーーーー

『籠の中の乙女』
ヨルゴス・ランティモス監督の前作でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品。正直僕はハマらなかったですが、このころからすでに変な映画の片鱗が見えます。

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