2016/06/08

"Popstar : Never Stop Never Stopping" 『ポップスター:ネバー・ストップ・ネバー・ストッピング(原題)』

監督:アキヴァ・シェイファー、ヨーマ・タコーン
出演:アンディ・サムバーグ、アキヴァ・シェイファー、ヨーマ・タコーン
撮影:ブランドン・トロスト
86分

ひさしぶりに満足のいくコメディを観た!

かつて人気ボーイズグループとして一斉を風靡した世界的ポップスターのコナー4リアル。現在はソロで活動する彼は全世界待望のセカンドアルバムをリリースするも、度重なるプロモーションの失敗と自身の素行の悪さが原因でセールスは周囲の期待とは程遠いものに。意気消沈のコナーはアルバムのセールスを伸ばすため、全米ツアーを敢行するが…。


驚きました、まさかここまで楽しめるとは!

ほとんどのジョークが笑えるうえ、後半にはしっかりと(いい意味で安っぽい)ドラマが用意されており、短い上映時間ながらも尺すべてを楽んで観られました。

当たり前なことのようですが、コメディではそういう作品は本当に稀。ていうかほとんどありません。たいていのコメディには感情移入できるドラマがないので必ずどこかで興味を失いますし、ジョークがいったんつまらなくなるともうそこからは下り坂の一途だったりします。
ところがこの作品にはそういう瞬間がほぼありません。

この作品の成功の原因はやはりキャラクターとドラマがしっかり出来上がっていたことにあるでしょう。

主人公のコナー4リアルを演じているアンディ・サムバーグはこの映画の中でめちゃくちゃいい演技を披露しています。クソ野郎なのにどこか憎めない、ピュアな少年のような心を持ったコナーを活き活きと演じていて、このぶっ飛んだキャラクターを見事にものにしていました。

もともとこの企画自体、アンディ・サムバーグと本作で助演や製作、監督も勤めているアキヴァ・シェイファー、ヨーマ・タコーンの2人を加えたユニット「ザ・ロンリー・アイランド」主体で進められています。
もっと彼らについて説明したいところですが、僕もこのグループのことは本作を観るまで知らなかったので、知りたい人は各自でググってください笑

そしてこの映画で最も驚いたのは映画の後半。なんとも胸が熱くなるブロマンス映画に早変わり。
これがまぁ安っぽい展開なんですが、モキュメンタリーであることと前半の伏線も絡んできて、しっかり説得力のあるものになっていたことに驚き。そして見ている間何度込み上げるものがあったことか…笑

これは間違いなく本作でプロデューサーを担当しているジャド・アパトウのおかげでしょう。この人は一昔前に『40歳の童貞男』を大ヒットさせたのち、『スーパーバッド』などのユニーバサル製作のコメディのプロデュースを手掛け、セス・ローゲンやエヴァン・ゴールドバーグ、グレッグ・モットーラ、ビル・ヘダーなどとともに今日のコメディ界を作りあげた、コメディを語るうえでは欠かせない人物。

一時期の勢いはなくなりましたが、今でもやはりコメディ(とブロマンス)を作らせたら右に出るものはいないでしょう。

そして音楽も素晴らしい楽曲が揃っています。
アダム・レヴィーンが参加したメイン曲"I'm So Humble"やP!nkとのコラボ曲"Equal Rights"など、どれもキャッチーでポップなので間違いなくノレます笑

ただそのどれも歌詞がひどい笑
「アメリカ政府がビン・ラディンを◯◯するよりもハードに私を◯◯して。」とか、「モナリザ、お前は過大評価されたゴミだ」とか、「俺はゲイじゃない」とか、とにかく下ネタかまるで脈絡のないネタばかり笑

この楽曲のあまりに高いクオリティとまるで思いついた単語を並べただけのクラッピーな歌詞とのギャップがまたジョークとしてうまく機能していて、うまいなぁと心のなかでリズムを刻みながら感心していました笑

まとめると個人的にかなり楽しめた映画でした。
実を言うと僕はけっこうコメディにうるさいんですが、それでもこの作品は文句なしに僕のコメディ欲を満たしてくれた作品でした。
アメリカンコメディが好きでない人も、少なくともこの映画の音楽には満足できるはず。多くの人に観に行くことを強くオススメします。

トレーラー

IMDb              7.6/10
Rotten Tomatoes          76%
metacritic            69/100

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