監督:セア・シャーロック
出演:エミリア・クラーク、サム・クラフリン、ジェンナ・コールマン
撮影:レミ・アデファラシン
音楽:クレイグ・アームストロング
110分
かなり好きなラブストーリーでした!
田舎町で家計を支えるため家族と暮らしているルーはある日突然、勤めていたベーカリーを解雇される。不景気によって雇用の少ないこの街で再就職は困難を極めたが、偶然にも就職案内所で仕事を紹介される。それは豪邸に暮らすトレイナー家の一人息子で、事故により首から下が麻痺したウィルという青年の付き人だった。
始めは心を閉ざしていたウィルだったが、次第にルーと打ち解けるようになる。しかし彼にはとある秘密が隠されていた…。
ティーンに人気のベストセラー小説を映画化した作品はもう毎年恒例のように作られていますね。
その代表格といえるのがニコラス・スパークス原作もの。
『きみに読む物語』が大ヒットして以降、彼の原作はもはややり尽くしたと言っても過言ではないほど次々と映画化されました。
そして近年では『きっと、星のせいじゃない』が全世界で大ヒットし、去年には"Papertowns"が映画化されたジョン・グリーンもこれからその波にのるでしょう。
というわけで本作もその流れを汲んで製作された作品。本作はジョジョ・モイヤーズという作家が書いた同名の小説が原作ですが、正直驚きました。けっこう面白いです。
ストーリーに関しては若者向けのラブストーリーというわけでまぁそこまで期待していなかったんですが、物語が進むにつれて最近の若者はここまでリアリスティックなものを好むのかと、ちょっと驚きました。
まず僕はこの作品のディレクションに賛辞を送りたいです。
下手にお涙頂戴の困難を乗り越えようとするカップルのラブストーリーに逃げず、また無駄に『トワイライト』ちっくな白馬に乗った王子様(この場合ヴァンパイアか)にさらわれたい願望の腐女子映画にもせず、いい塩梅で主人公の成長やキャラクターの葛藤、そして人間関係を無理矢理にドラマを盛り上げず、あくまで彼らに寄り添った視点でこの作品は作られています。
急展開を見せる第2幕後半でさえ、起こっている展開はそうであっても、決して観客の涙を引き出そうとはしていません。
これってこの手の映画には珍しい、すごくナチュラルなスタンスでの映画作りだなと思います。
そしてしっかりこの作品で扱っているテーマと作風にマッチしていてお見事と言わざるをえませんでした。
さてこの映画の一番良かったところはなんといってもエミリア・クラークでしょう。
この人、この映画のなかでめちゃくちゃ可愛いかったです。
『ゲーム・オブ・スローンズ』のデナーリス・ターガリエンと同一人物とは思えません。素晴らしくチャーミングで人を元気にさせる力のある田舎娘をこれでもかという可愛らしさで演じています。
この演技、人によってはウザいと思うかもしれませんが、僕的にはすごくいいラインを攻めていたと思います。現実ばなれしているけど確かにこういう人いるよなぁ、みたいな。
そして彼女のキャラクターは彼女が出てきたそのシーンからもうすでに出来上がっていました。ベーカリーで働いている彼女はお客であるお年寄り相手にちょっとした頼みにも嫌な顔一つせずに応えており、そのさまを見て誰が彼女を嫌いになれるでしょうか?(ええ、ご察しのとおり婆ちゃんっ子だったもので…笑)
そして物語が進むにつれ、彼女の普段の冷たい表情に隠されたこれでもかという満天の笑顔を向けられたら、もう心はすでに奪われたも当然です笑
さてお相手役のサム・クラフリンは『ハンガー・ゲーム』シリーズの2から登場しているキャラ、フィニックでおなじみですが、二枚目ながら首から下が不随になり、かつての自分への喪失感で心を閉ざしてしまった大富豪という難しい役どころを演じきり、観客の心にキャラクターの苦悩を見事に伝えていました。
そもそもこの映画、この2人の好演がなかったら魅力が半減していたと思います。
それぐらいこの2人が果たした役割は大きく、逆にいうとこの2人が演じているキャラクターを気にかけることが出来なければ、面白いと思うことは難しいのではないかと思います。
というわけでそこがこの作品の最大の問題点。
誰でも楽しめるかと聞かれればノーですし、誰でもこのキャラたちが好きになるかと聞かれても答えはノーです(とりわけクラークの演技は上にも書いたけど人を選ぶと思う…)。
ただ少なくとも僕は、この2人のキャラクターを見ている間ずっと気にかけていましたし、感情移入もしっかり出来ました。
というわけで僕はこの作品、断然支持したいです。
2人のフレッシュなアクターによる、すごく爽やかで気持ちのいい作品でした。
トレーラー
IMDb 7.9/10
Rotten Tomatoes 57%
metacritic 51/100
日本公開:2016/10/01
追記:
2016/07/24 - 邦題、日本公開日変更しました。
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まだ始まったばかりかな。
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