監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:オシーア・ジャクソン・ジュニア、コーリー・ホーキンス、ジェイソン・ミッチェル
撮影:マシュー・リバティーク
音楽:ジョセフ・トラパニーズ
157分
こ〜れはすごい!!
カリフォルニア州ロサンゼルスの南に位置する街コンプトン。治安の悪いこの地域で生まれた実在の伝説的ギャングスタラップグループ、N.W.A.の栄光と挫折を描く。
最初にも書きましたが、これはんもうすごいです!
作品の持つパワーが画面からひしひしと伝わってきます。
80年代後半から90年代初期にかけて実際に起こったアフリカンアメリカンたちを中心としたロス暴動と絡め、N.W.A.の物語は徐々に深く大きくなり、そして音楽を愛して貧困の街コンプトンから夢を叶えた彼らの関係もどんどんと複雑化していきます。
この描写がそれはもう鮮やか!
伝記映画っていうのは事実とフィクションのバランスがとても大事で、どちらか一方に偏ってしまうとかなり興ざめしてしまう、自分の場合は。
この作品はどうか。まずビルドアップの段階で完璧。
監督、F・ゲイリー・グレイはもともと『交渉人』の頃から只者ではない演出力を見せてたが、今回はさらにパワーアップ。そもそも自分はヒップホップは聞かないし、N.W.A.というグループ自体知らなかった。アイス・キューブやドクター・ドレーは知っていたがアーティストとしてよりむしろ前者は俳優、そして後者はヘッドホン作った人ぐらいしか知らなかった。
そんな彼らを開始たったの10分ほどでどんな人物かはっきりと描写できているのに驚いた。決して有名俳優が演じているわけでもないのに、気づかぬうちにキャラクターが出来上がってしまっていたのだ。
そして尺も147分とちょい長め。それでもまったく飽きがこない。派手な銃撃戦があるわけでも九死に一生のアクションがあるわけでもない。
グレイはただひたすら真摯に彼らがいかにあの激動の時代の中心となり、そして彼ら自身も時代に動かされたかを彼らから決して離れることなく描いている。
それを支えている要素の一つが、ダーレン・アロノフスキー作品常連のカメラマン、マシュー・リバティークの変幻自在なカメラワーク。この人のカメラは比較的手持ち長回しが多く、オリヴァー・ウッド並みにカメラが動く。そしてそれが常に効果的に観客を映画内へといざなってくれる。
繰り返しますが、ひさしぶりにこんなに力強い作品を観ました。
作られる運命にあったかのようにドラマチックかつパワフルな彼らの物語を観逃す手はありません。日本でも早く公開されることを願います。
間違いなく今年必見の1本です。
トレーラー
IMDb 8.4/10
Rotten Tomatoes 88%
日本公開:2015/12/19
追記:
2015/09/25 -邦題、日本公開日変更しました。
『交渉人』
F・ゲイリー・グレイの名を世界に轟かせた一本。何度観ても引き込まれます。
『ブラック・スワン』
本作の撮影監督マシュー・リバティークの美しいステディショットを堪能できる作品。
beats ヘッドホン
映画関係ないけど、本作にも登場するドクター・ドレーがプロデュースしているヘッドホンブランド。アメリカ人はみんなこれ使ってます、冗談抜きで。
0 件のコメント:
コメントを投稿