2015/08/08

"Fantastic Four" 『ファンタスティック・フォー』

監督:ジョシュ・トランク
出演:マイルズ・テラー、マイケル・B・ジョーダン、ケイト・マーラ、ジェイミー・ベル
撮影:マシュー・ジェンセン
音楽:マルコ・ベルトラミ、フィリップ・グラス
100分

う〜〜〜〜〜む……。

リードとベンは小学校時代からの親友。彼ら2人は大人になっても別次元の地球へのテレポーテートを可能にするマシンの開発に勤しんでいた。そんなある日、そのマシンがフランクリン博士の目に止まり、彼の研究施設に引き抜かれる。そうして彼は同じチームに博士の子供であるスーとジョニー、そして手に負えない天才ビクターを迎え、見事マシンは完成。そして彼らは自ら実験台となり別次元へとテレポートするのだが。




監督のジョシュ・トランクが自らのTwitteアカウントでこの作品の出来に関して、制作会社のフォックスを攻める発言をして話題になってますが、確かにこれはちょっとひどいかもしれません。

この作品でダメなポイントは2つです。
1.見せ場がまるでないこと
2.的を絞りきれていないこと
です。

そしてこの2つの原因が見ていて明らかです。尺がまったく足りてません。
100分だとあまりにも短いです。

この監督、主人公リードとベンの関係とビクターについてかなり深く掘り下げようとしているのが観ていて分かります。

監督のデビュー作『クロニクル』が成功した理由はPOVの一風変わった超能力映画だからだけではなく、それに加え登場人物たちの友情にポイントを絞っていたからです。今回もおそらくそういうテイストを加えたかったのだと思いますが、それがまったくうまく機能してません。リードとベンの関係は惜しいところまでいくのですが、ドラマを生むまでには至っていません。
のちに悪役ドクター・ドゥームとなるビクターとファンタスティック・フォーの面々の関係も、かなりいいドラマを生みそうなのですが、結局そこまで掘り下げられず。
これらがうまく機能していれば、最低でもドラマのある映画になっていたでしょう。

そして何よりも一番ひどかったのが、最後のバトル。
あまりにも手抜き、というか雑すぎです。何のきっかけもなしにバトルがいきなり好転したりして、正直「は?」っていう描写のオンパレードです。
これもおそらく尺の問題でしょう。もしかしたら監督のジョシュ・トランクの言うようにスタジオの手が入った(カットされた)のかもしれません。ただそれは我々には知る由もありません。

唯一の見せ場である最後の戦いがとにかくひどいうえ、前述のドラマのひどさとも相まって近年稀に見る救いようのない作品になっています。
正直、僕は批評家の意見はあまり鵜呑みにしない方ですが、こればっかしは彼らに賛成せざるおえません。



俳優陣はかなりよく、なかでもマイルズ・テラーは『セッション』ほどの入り込み方ではありませんでしたが、リードというキャラクターを魅力的にするのに一役買っていました。やっぱりこの人、すごい役者だと思います。

ただ他の3人は正直…。ケイト・マーラは演技してるのかよく分からないぐらいいつもと同じ感じ。ジェイミー・ベルはあまり出番がなく、 出てきたと思ったら岩男になります。
マイケル・B・ジョーダンは、ん〜〜。『クロニクル』の時の方が良かったかなぁ。あんまりこの人である必要性を感じませんでした。

あ、ただビクター役のトビー・ケベルが意外にいい感じでした。
一番人間くさいというか、『クロニクル』でいうデイン・デハーン演じるアンドリューの役どころと通じる部分があって、もうちょっと彼に関するストーリーが見たかったな、と観終わって思いました。

こちらではかなりの酷評で迎えられてますが、もし興行的にもパッとしなかった場合、マーベル最大の失敗作になることは間違いないです。

正直、この映画の続編は作られないでしょう。(リ・リ・ブートはあるかもね)
ただこの1本でジョシュ・トランクのキャリアが潰されてしまうのはかなりもったいない気がします。
新『スター・ウォーズ』のスピンオフを降板したのも、もしかしたらこの作品の経験からかもしれませんね。
中規模予算で戻ってきてくれることを切に願います。


トレーラー

IMDb             4.1/10
Rotten Tomatoes         9%

日本公開:2015/10/09

0 件のコメント:

コメントを投稿