2015/07/28

"Southpaw" 『サウスポー』

監督:アントワン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィテカー、レイチェル・マクアダムス
撮影:マウロ・フィオーレ
音楽:ジェームズ・ホーナー
123分

胸アツ!!

ライトヘビーウェイト級のチャンピオンであるビリーは美しい妻と娘に囲まれ、順風満帆な生活を送っていた。しかしある日、ビリーは自分をコントロールできなかったことが原因で最愛の妻を失ってしまう。失意に暮れるビリーは数々のトラブルを起こし、ついには娘を施設へと入れられ、離れ離れに。娘との生活を取り戻すため、ビリーは再起をかけて新トレーナー、ティックの元で激しいトレーニングを積んでいく。


正直、映画自体は大したことありません。よくあるスポ根ボクシングもの。『ロッキー』から『レイジング・ブル』、そして『シンデレラ・マン』などボクシング映画には名作が多いですが、今作はオスカーに絡んだこれらの映画と比べると劣りますが、やっぱりよく出来てます。

ただ、撮影は正直ダメだし(照明の使い方がこの好みじゃない)、試合中のグリーンスクリーンの処理がひどすぎてだいぶ萎えたりしましたが(こんなにひどいのはこの規模の映画で初めて観ました) 、それでもこの映画には圧倒的なパワーがあります。そう、その中心が主演のジェイク・ギレンホールです。

彼は本当にすごい俳優です。
前作の『ナイト・クローラー』では目ん玉飛び出そうなくらいガリガリになって、すばらしく狂気じみた怪演を魅せてくれましたが、今回はもうムキムキになってカムバックです。前回の緻密な演技も良かったですが、『エンド・オブ・ウォッチ』や『ジャーヘッド』の時のような、見てくれはマッチョなのに繊細な心を持ち合わせたキャラクターが一番似合います。そして今回のビリー・ホープもそう。

この人のすごいところは肉体改造だけではありません。喋り方から立ち居振る舞いまで、完璧に作られているんです。
すごいです。そのキャラのクセを始め、一挙一動に至るまで完璧になりきっています。
これによって真実味がぐんっと増し、感情移入しやすいキャラを作り上げています。

娘との関係もこの映画の大事なパート。娘役を演じたオオナ・ローレンス、可愛らしいだけでなく、ジェイク・ギレンホールと張り合っているのがすごい…。恐るべし…。

そしてコーチ役のフォレスト・ウィテカーも素晴らしいです。相変わらず巨体をのそのそ動かし、存在感抜群です。終盤のビリーとの関係も、定番っちゃ定番ですがやっぱり胸をうちます。

正直アントワン・フークアの作品って脚本に助けられてる感じがするのと、詳細にこだわってない感じがして、あんまり好きじゃないんですが、これは彼の作品の中でもかなり面白い方でした。

前作の『イコライザー』よりかははるかによく出来ている、ことは間違いないです。

追伸:
ちなみに音楽を担当したのは、今年の6月末に飛行機事故で突如帰らぬ人となったジェームズ・ホーナー。彼ほど才能のあるコンポーザーを早くに亡くしてしまうなんて、ハリウッドにとっては大きな痛手です。ご冥福をお祈りします。

トレーラー

IMDb       8.1/10
Rotten Tomatoes   56%

日本公開:2016/06/03

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