『ファイ 悪魔に育てられた少年』 "화이:괴물을 삼킨 아이"
・あらすじ
ファイには5人の父親がいる。彼らは殺人や強盗を繰り返す凶悪な犯罪集団であった。
ファイはある日、彼らの仕事に連れられ、初めての殺人を犯してしまう。
そののち、ファイは自分の出生の秘密を知る…。
・トレーラー
アクション度:★★☆☆☆
韓流漢泣き度:★☆☆☆☆
血みどろ度 :★★★★☆
65点! It's good.
久しぶりに我々が待ち望んだ、ハリウッドもどきではない韓国映画が観られました。
話の展開はしっかりと「家族」というモティーフから逸れることなくきっちり作られ、さらに観客に解釈の余地を与えてくれる演出など、90年代後半から00年代初期のころの韓国映画を思い出させてくれます。
久しぶりに骨のある映画だなと思い、監督名を観て納得。
あのチャン・ジュヌァンである。
パク・チャヌクやポン・ジュノ、イ・チャンドンという巨匠たち(いわゆる386世代の人々)が韓国でブイブイ言わせていたあの時代に『地球を守れ!』という韓国映画史に残る大失敗作(興行的にね)を生み出し、その後干されることとなった悲劇の人である。
同時代の監督たちは今やハリウッドに進出してしまったわけだが、ジュヌァン監督のもとにもようやく日が差したようだ。良かった。
この世代が映画的にもっとも関心を寄せたことは、朝鮮半島分断を経た民族の「悲しみ」と、それによる「家族のあり方」の変化である。
前者はさすがにそこまで絡んでこないが、家族のあり方についてはかなり含意を持った映画である。
強い権力を持った父親は母親(代わり)を家に閉じ込め、家事など一切を彼女にやらせている。
そしてファイにとっての父親として5人の男は強く結びつき、強大な力で持ってファイを含め家族を抑圧している。
そして遂にファイは父親と敵対する日を迎える。
この映画は80年代韓国における体制への反発と新時代への希望を求めていたあの時代の韓国人の葛藤がバックグラウンドとして描かれている。
今日の韓国のトップは女性であるにも関わらず、この映画に出てくる女性たちはことごとく何も出来ないでいる。
このことからもいわゆる現代劇として描いていないことが分かるだろう。
がしかし、見どころである肝心のアクションの切れがあまり良ろしくない。そこはきっちりハリウッドを見習ってほしいものだ。
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