『ビフォア・ミッドナイト』を鑑賞
監督・脚本:リチャード・リンクレイター 出演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーほか 2013年/アメリカ/108分/原題:Before Midnight |
65点!
このシリーズ、本当に会話だけなのにどうしてこんなにも魅力的なんだろう。
男は誰でもジェシーのように自由を愛し、そのくせ真面目な話ははぐらかす。いつまでたっても子供の自分が抜けずにいる訳だ。
しかしセリーヌは違う。『ビフォア・サンセット』のときから臭わせていたが、モチベーションだけは高く、全ての不幸は自分1人が背負っている、と思い込んでいる。
そんな2人の性格の差が3作目の今回はとんでもないシーソーゲームへと発展する。
正直このシリーズはカップルで観ては絶対にいけない。いや、観てもいいが絶対に観た後ケンカする。
男であれば、セリーヌの勝手な言い分に腹が立ち、こんなに想っているのに応えてくれない、なんだこのビッ◯は!と思う。
そして女性はジェシーの、子育てや家事の責任を負わず、自分の好きな物書きで小遣いを稼ぎ、時間やその他もろもろに追われることのない自由な生活にイライラする。
まぁ女性の現実主義と男性の夢想主義は永遠に解決することなく、きっとこれからも議論の的になるのだろうけど、この映画の憎いところはそれでも時間は流れるということを描いており、取り戻せない時間というものを誰とどのように過ごすか、そういった究極の問いを投げかけてくるのだから、観てるこっちは気が気じゃない…。
当ブログらしい話題も。
監督のリチャード・リンクレイターは本当にマルチな才能と言えばこの人ってぐらい、何をやらせても巧い。
本シリーズのような地味系(日本で言うBunkamura系)の味わい深い映画を撮ったかと思いきや、『がんばれ!ベアーズ/ニュー・シーズン』(2005年/Bad News Bears)や『スクール・オブ・ロック』(2003年/School of Rock)のような普通に楽しめるハリウッド娯楽映画も撮りながら、果ては究極のトランス映画、『スキャナー・ダークリー』(2006年/A Scanner Darkly)のようなアンダーグラウンドなにおいしかしない胡散臭い映画まで撮っちゃうんだから、恐れ入る。
そんな監督の最新作"Boyhood"が今年のベネチア映画祭で話題になりました。
なんと製作に12年もの時間を費やし、1人の俳優がガチで歳を重ねていくのを追っていったそうです。別にドキュメンタリーでも何でもありません。ちゃんとしたストーリーのあるフィクション映画であるにも関わらず!です。
そうまでして作品を作る労力と信念には頭が下がります…。
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