2014/01/24

『新しき世界』


試写会にて『新しき世界』を鑑賞。



監督・脚本:パク・フンジョン
出演:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、パク・ソンウン、ソン・ジヒョ
2013年/韓国/134分/原題:신 세계


80点!!



はい、とてもよく出来ています。


キャスト、スタッフともに超一流がそろっており、韓国映画に少しでも慣れ親しんでいる人にとっては年に1本あるかないかの超弩級の贅沢映画となっています。



お話としては、ゴールド・ムーンとかいう財閥系の企業の会長が殺されるところから始まります。なんだ企業ものかとお思いでしょうが、もちろん違います。この会社、実はヤクザを企業化しただけなんです(この辺のからくりは僕にもよく分からないので、知りたい人は近くの頭のいい大人の人に聞いてね)。


そしてそこに潜入するハメになった(正確には既に潜入している)捜査官が組織内抗争や義兄への信頼、警察への忠誠の間で揺れ動きます。

あらすじだけで飯3杯いけますね。


主演はイ・ジョンジェ。






















横顔なのでよく分かりませんが、すごく韓国的なイケメンの顔をしています。
つるっとしたたまごのような感じ。

最近では『10人の泥棒たち』(도둑들/2012)というのが去年日本で公開されましたね。



個人的にはこの人はすごくいい声をしていると思います。
俳優向きです。しかし、いかんせん重厚感が足りません。

脇が強すぎたってのいうのもあると思いますが、こういう分かりやすい役で苦悩を表現するほどの演技力はまだ無いと思います。


むしろカメレオン的な役柄の方が器用にこなせる人だと思いますが、どうなんでしょう。



次にチェ・ミンシク






















超かっこいい。。。


本当にクソ野郎な上司なんですが、人を巻き込んででも組織の壊滅に向けてひた走る姿は、同じ男から見てもほれぼれします。


演じるチェ・ミンシクは、韓国映画のマスターピースの1本である『オールド・ボーイ』(올드보이 / 2003年)など、私的「この人が出ている映画は観なければいけないリスト」の筆頭に君臨しています。


また、今回の監督パク・フンジョンが脚本を担当していたキム・ジウン監督の『悪魔を見た』(악마를 보았다 / 2010年)では、それはそれは恐ろしい殺人鬼を演じてました。正直面白いとは言えない作品ですが、この人のおかげでなんとか鑑賞に堪えるものであったと思いますね、はい。


そしてファン・ジョンミン




















今まで何本か出演作を観てきましたが、正直どれも印象に残ってませんでした。

覚えているといえば
『黒い家』(검은 집 / 2007年)の主役と『生き残るための3つの取引』(부당거래 / 2010年)の陰鬱な顔した人…ぐらいですかね…。


しかし今回はかなりはっちゃけていていい味出してます。


語尾にいちいち英語で言うFワードをつけないと喋れないうえに、悪趣味な服装、立ち居振る舞いをするのですが、義理に厚く観ていてとても気持ちが良いです。

おそらくこの作品中で最も人間らしく、魅力的なキャラクターでしょう。




と、今まで良いところを書いてきましたが、不満が無いわけではありません。

あまりにもウェールメイド過ぎます。
ここ最近の韓国映画全般がそうなのですが、もっと突き抜けた作品が観たいです。
パク・チャヌクやポン・ジュノ、イ・チャンドンが全盛期だった2000年代前半のあの我々の心をかき乱し弄ぶ「韓国映画」はどこに行ったのでしょう?

こんなにしっかりしっかり作る映画なんていうのはハリウッドに任せておけばいいんです。なにせ本場ですから。


ちょっと愚痴っぽくなっちゃいましたが、不満と言えばこれぐらいなので、全体的には良い映画だったということでしょう。
う〜ん、こんな消極的肯定しか出来ないのも悔しいですね。





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