2016/05/28

"X-Men: Apocalypse" 『X-MEN:アポカリプス』

監督:ブライアン・シンガー
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス
撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
音楽:ジョン・オットマン
145分

良いです!が…!

世界最古のミュータント、アポカリプスが長い眠りから目覚め、世界の破滅を目論み始める。それを阻止するため、プロフェッサーX率いるX-Menたちは強大な力を持つアポカリプスに戦いを挑むが…。


まぁ普通に楽しめました。

とにかく視覚的にはものすごい映像のオンパレードです。

とりわけベストシーンは前作に続いて、そう、クイック・シルバーのシーン!
前作がめちゃくちゃ複雑で難しいシーンだっただけにあれを超えるのは無理だろうと思っていましたが、なんとまぁあっさり超えていました。
今年1、2位を争うであろうほどVFX的には素晴らしいシーンでした!
まぁスポイラーはしないですが、これを観るためだけでも映画館に行く価値はあります。


ストーリーも今回はマグニートーにより焦点を当てた作りとなっており、彼のバックストーリーなんかを知っていると、もっと彼の悲しみやプロフェッサーとの友情と人間への怒りの間で揺れる葛藤が感じられ、ストーリーに奥行きが出るでしょう。

というわけで、今のところ良いところしか書いてないですが、はっきり言って問題点はめちゃくちゃ多いです、この作品。

まずストーリー。これかなりマズイです。
テリングするストーリーが多いわりにじつはたいした内容じゃないんです。
それをブライアン・シンガーは演出力がないのでバランス良く捌けていません。
端折るところは足早にやって、魅せる部分はしっかり見せてくれるのが頭のいい監督の演出。ただこの人のスタイルはテンポというものが考えられておらず、観ていてけっこう飽きがきます。

例えばアポカリプスは4人の使者(4ホースメン)を従えている設定なのですが、このリクルートのシーンがんもうテンポ悪い。
そもそもこんな単体で最強のミュータントが4人を従える必要が果たしてあるのだろうか?と今書いていて思いました。笑

そして演出もところどころチープ。

森のシーンでとある重大な事件が起こるんですが、これがもう次に何が起こるのかバレバレ。
現実ではあり得ない行動をとるキャラクターが多く、かなり萎えてしまいます。
だって何かに襲われてる人が装填した弓を引きっぱなしにすると思いますか?しかも訓練を受けた兵隊が。

さらにアポカリプスと誰かが話している時なんかはその場にいる他のキャラクターはただ棒のように突っ立っているだけ。これが僕の集中力をいちいち削ぎました!
それならカメラアングルで見えないようにしたりしてごまかせばいいのに、彼はそれをしない。ちなみに彼の作品ではどれも毎度していない。


おまけにそのカメラもけっこうダメダメ。画面内のアクションが忙しいように見えて、実際に観客に届けられる情報量はかなり乏しいというショットがかなり多いです。
見た目はファンシーで鮮やかだけど、中身は空っぽな絵を見せられ続けている感じ。
スピルバーグ先生の映画を観てショットの圧倒的情報量を見習ってほしい。

そして照明もかなりフラットなものが多く、絵の立体感が乏しいので、この人はテレビでも作ってたほうが性に合ってる気がしますね。
これのせいでSFXもかなりしょぼく見えますし。
アポカリプスたちがプロフェッサーのもとに現れたときなんかは、ご丁寧にみなさん戦隊ヒーローのような隊列をつくって登場。
ここはちょっと笑いそうになりました。お前らワープする前にそんなに綺麗に整列してから来たの?みたいな笑


さてまぁいろいろ書きましたが、全然僕はこの作品支持します。
というのもしっかり楽しめましたし、視覚的にも派手なシーンが多く、夏のブロックバスターに必要なものはしっかり詰まっていたと思います。
レビュアーたちがいうほど悪くはないです。

ただここのところ良作続きのマーベル作品ということを考えるとちょっと残念かもしれません。
『デッドプール』や『シビル・ウォー』は素晴らしい出来でしたから。

トレーラー

IMDb                 7.6/10
Rotten Tomatoes             48%
metacritic               52/100

日本公開:2016/08/11

ーーーーーー予習したい、そんなあなたにおすすめーーーーーーーー

『X-MEN:フューチャー&パスト』
前作。よくできたタイムトラベルSFだと思います。これが好きな人は『アポカリプス』はちょっと物足りないかも。


『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
X-MENシリーズで一番好きな作品。オワコンだったシリーズに見事に新しい風を吹き込んだ名作です。


『スティーブ・ジョブズ』
今作はマグニートーに焦点が当てられているので、マイケル・ファスベンダーの作品を。素晴らしい演技を披露しています。


『つぐない』
マイケル・ファスベンダーと張り合うジェームズ・マカヴォイの作品を。これは大傑作。

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