監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン
撮影:マリス・アルベルチ
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
132分
オリジナルの『ロッキー』と同等、いや、もしくはそれさえも超えた大傑作!
リング上で対戦相手に殺された伝説のボクサー、アポロ・クリードを父に持つアドニス。
そんな彼は自分のアイデンティティーが定かではない人生を送っていた。そしてその答えを見つけるため、父と同じ道を歩むことに決める。そしてそのアドニスが訪ねたのは父親の最大のライバルにして親友のロッキー・バルボアであった。
素晴らしいです。今年一番胸をアツくさせられました。
まず、キャラクターの描き方がとてつもなく巧いです。
しかし劇的になりすぎてないその良い塩梅が監督の力量を物語っています。
そのセットアップに一役買っているのが間違いなくDPマリス・アルベルチが切り取るフィラデルフィアの街並み。
この人の切り取る映像はどこまでもリアルで生々しく、街の空気感まで感じ取れるほどです。あとでフィルモグラフィーを見て納得しましたが、もともとドキュメンタリーをメインに手掛けているようですね。
そしてこのDPといえばそう、「背中」です!
『レスラー』というミッキー・ローク主演の映画があったのを覚えていらっしゃいますでしょうか?実はあれと同じDPなんです!
で、『レスラー』で何が一番目に焼き付きましたか?もちろん、ミッキー・ロークの哀愁溢れる背中ですよね?
そうなんです、この人はキャラクターの背中で語らせたら右に出るものはいないDPです。
そして今回もたっぷりあります、背中ショットが。しかし、そのどれもが明らかに違う印象を与えるのに成功しています!
それは時にその人物の背負っているものの重さであり、そして覚悟でもある…。
またある手持ち長回しショットが映画の中盤にあるのですが、それがもうとんでもなく素晴らしいショットでした。今年観た中でもベストの長回しだったかもしれない。
観れば分かるので、特にこれ以上は突っ込みません。とにかく圧巻でした。
そしてこの作品で一番賞賛したいのが主演のマイケル・B・ジョーダン。この人、肉体的にもボクサーになっていてそれだけで驚きましたが、それ以上にアドニスの苦悩を繊細に演じていて驚きました。めちゃくちゃ上手いです、この人。
"Southpaw"のジェイク・ギレンホールに期待して見事に裏切られた描写(ちなみに彼のせいではなく演出のせい)をこの作品でマイケル・B・ジョーダンが見事にやってのけました。
この人のことは『クロニクル』で知りましたが、その時からたしかに光るものがありました。しかし、この『クリード』で完璧に一皮むけた感じがします。それぐらい別次元のパフォーマンスです!
音楽に関しても、ライアン・クーグラーと『フルートベール駅で』でもタッグを組んだルートヴィッヒ・ヨーランソンが、映画を観ないような人でも必ず一回は耳にしたことがあるオリジナルのスコアを見事にアレンジし、この新章に新たな風を吹き込みました。
なんだか文章だとあんまり魅力を伝えきれていない気がします。それぐらい素晴らしい要素がぎっしり詰まった大傑作です。ぜひ劇場の大スクリーン、そして大音響で観てください!
必見!!
トレーラー
IMDb 8.7/10
Rotten Tomatoes 93%
日本公開:2015/12/23
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