"Kung Fu Panda 3" 『カンフー・パンダ３』

監督：アレッサンドロ・カーローニ、ジェニファー・ユー

出演：ジャック・ブラック、アンジェリーナ・ジョリー、ダスティン・ホフマン

音楽：ハンス・ジマー

95分

良い！

平和な日常を暮らし修行に励むポーたちの前に突如、行方知れずだった彼の実の父親リーが現れる。そして再会を喜ぶ彼らのもとに霊界から蘇った巨悪カイの脅威が迫っていた。彼を倒す唯一の方法はポーの生まれ故郷であるパンダ村に伝わるという秘儀”チー”をマスターすること。そしてポーは父と共にパンダ村への修行の旅に出る。果たして彼はカイの手から世界を救うことはできるのか…？

すみません、レビューの前にまず一言。
実はこのシリーズを観たのは今作が初めてです笑
なのであまりシリーズがどうこうとか突っ込んでは言えないので、先に断っておきます…。

さて本レビュー！

なかなか面白かったです！

ギャグに次ぐギャグの連続！そしてそれらがすべてちゃんと面白い！
上映時間90分ちょいの間ずっと、笑わせてもらいました。

そしてキャラクターもお見事！
ポーを始めとするメインキャラクターたちはまぁこれが３作目なのであまり深く描かれませんが、新キャラのリーとヴィランであるカイはきちんとデヴェロプされており、キャラクターが活きているのが分かります。

さてこれは個人的な意見ですが、特にカイが本当に素晴らしいです！何がって、このキャラのすべてが素晴らしいです↓

淡い緑のテーマカラーもバッチリ決まっていて、視覚的にもかなり効果的。
（それにしてもドリームワークスのアニメーション観るたびに思うことなんですが、作品全体に色が溢れてるのにどうやって衝突させずにうまくまとめているんでしょうか？この部分だけに関しては、ほかのどのスタジオのアニメーションよりも勉強になります。）

話を戻すとこのカイ、キャラクターデザインの良さもありながら、アニメーターが彼に注ぎ込んだ愛情、情熱が画面から伝わってきました。僕のなかでは、これまでに制作された3Dアニメーション作品のなかで一番好きなキャラクターかもしれません。

そしてこのカイが登場するたびに彼のテーマ曲（？）みたいなのが流れるんですが、それがとてつもなくかっこいい！コンポーザーはなんとあのハンス・ジマー！
また、お前か！まぁ納得ですよ笑

そんなカイの声を担当したのは去年の『セッション』で全世界の音大生を恐怖のどん底に陥れたJ.K.シモンズ！
今回もあの威圧感たっぷりの低音ボイスで魅せてくれます。
ちなみにこの人、僕の印象ではサム・ライミ版『スパイダーマン』トリロジーのコミカルな編集長やジェイソン・ライトマン作品に出てくる優しいおじさんのイメージが強いので、最近こういうヴィラン系の波が来てるのはちょっと意外！まぁハマってるからいいけどね。

そしてリー役のブライアン・クランストンもすごいピッタリ！妻子を同時に失う、というとてつもない悲劇に遭いながらもそれを乗り越え生きてきた独特の疲れ、みたいなのを表現するのにブライアン・クランストンほどの適役はいないでしょう。

ただちょっと不満点も。
これは今さら言ってもしょうがないんですが、メインキャラクターを演じたジャック・ブラック（ポー）、ダスティン・ホフマン（シーフー）、アンジェリーナ・ジョリー（タイグレス）、セス・ローゲン（マンティス）、ヴァイパー（ルーシー・リュー）、モンキー（ジャッキー・チェン）、クレイン（デイヴィッド・クロス）...。
彼らのどれも役にハマってない。有名だからキャスティングされただけなように思えてならない。
ジャック・ブラックはちょっと声のアクが強すぎてあのパンダのもふっとした見た目と釣り合わない。あの外見だからあの声は許される。
で、あとの人たちは本当に誰でもいいから有名な俳優を選んだ感じ。

ただ、その反面、あまり聞いたことない人たちがすごい上手い、という不思議。
ポーの育ての親ミスター・ピンを演じたジェームズ・ホンやウーウェイ を演じたランダール・ダク・キムなどはめちゃくちゃ上手い。ていうか本当に現実世界にいそうなぐらい自然にキャラクターに命を吹き込んでいた！

さて見どころはやはりファイトシーンでしょう。とりわけオープニングがとてつもなくカッコよく、これは間違いなくこれまで観たアニメーションでベストになります！エフェクトからアニメーションまですべてがかっこいいです。5分ほどの短いシーンですが、一気に世界に引き込まれました！
これだけでも鑑賞料金の価値あり笑

正直僕も観る前はそこまで期待していたわけではなかったんですが、想像をはるかに超える面白さと楽しさでした。

ドリームワークスは当たり外れ大きいけど、これは間違いなくアタリ！
こういう作品をコンスタントに作れるようになれば、経営も苦しくならんだろうに…笑


トレーラー

IMDb　　　　　　　　　　　　8.0/10
Rotten Tomatoes　　　　　　　　 80%
matacritic　　　　　　　　　　64/100

日本公開：2016/08/19 Netflixにて配信

追記：
2016/08/16 - 邦題、日本公開日変更しました。